矯正の治療費は？

矯正治療は高額ということは何となく知っているけれど、具体的にどれくらい費用がかかってくるものなのでしょうか？

矯正治療には乳歯と永久歯が混在する時期「一期治療」と、永久歯が生えそろった10歳以上からの「二期治療」があり、成人の矯正はこの二期治療と同じとなります。自由診療であることが多い矯正治療は、歯科クリニックによって定めている料金にバラツキがありますが、目安としては20万円〜120万円ほどをみておくと良いでしょう。

治療費にこれほど幅がある理由には、歯列の状態によって必要な装置・治療期間が変わってくるほか、目立ちにくい審美装置を選ぶとより高額になるという点が挙げられます。またクリニックによって、調節料や観察料を含んだトータルフィーを提示している場合とそうでない場合もあるので、事前のカウンセリング時にしっかりと確認することが大事。

矯正治療やインプラント治療などの保険外治療費を対象としたデンタルローンを取り扱っている医院もあるので、費用面で心配な場合は事前に支払い方法について相談をしておくとベターです。

歯科矯正は「見た目を改善するための治療」とみなされているため、ほとんどの場合では自費診療となります。医療保険の対象となるには、「病気を治すため」という理由が原則となるので、対象から外されているというのが現状です。

しかし例外的なケースもあり、「厚生労働大臣が定める特定の疾患」が原因の咬合異常や顎の手術を必要とする顎変形症などに関しては、保険診療の対象となります。厚生労働大臣が定める疾患は50種類以上あり（※2020年5月現在）、インターネット上で詳細を確認することもできます。これらの保険適用の治療が受けられる医療機関は地方厚生局長に届け出をしているところに限っており、年度によって変更もあるので事前にクリニックに直接確認をするのがオススメ。

※参照元：日本矯正歯科学会 公式HP（https://www.jos.gr.jp/facility）

高額になってしまった矯正治療費も、医療費控除の申請を行うことで家計の負担を減らせることをご存知ですか？

医療費控除とは、年間の医療費が一定額を超えた場合、所轄の税務署で手続きをすることで納め過ぎた税金の一部が帰ってくるという制度です。医療費控除の対象となる矯正治療には条件があり、噛み合わせ・発音などの機能回復に治療が必要であると認められた場合のみで、見た目の改善を目的とした治療は含まれないので注意が必要。大人の矯正の場合は、医療費控除の対象であることを示すための診断書が必要となるので、自分が対象となるかどうか担当医に確認しておきましょう。

医療費の中には「治療費」のほか「通院のための交通費」も含まれるので、しっかりと領収書を保管しておきましょう。また現金一括払いだけでなく、クレジットカードやデンタルローンを利用した場合も控除の対象となるので、カード明細書・ローン契約書なども手元に置いておくことをお忘れなく。

還付金の計算は、1年間の医療費から保険金などの補填金額と10万円を引いた額に、所得税率をかけて行います。年間所得300万円の場合の所得税率は10％となるので、100万円の治療費がかかった場合の計算は以下のようになります。（保険金の補填がない場合）

100万円−10万円×10％＝9万円

申請の時期は翌年1月からとなり、申告書は税務署へ郵送や持参できるほか、電子申告（e-tax）での申告も可能。万が一申告期間を過ぎてしまった場合も、5年以内であれば申告をすることができるので、次回の申請時期に忘れずに対応しましょう。

国税に関する一般的な相談は、税務署に電話をして聞くこともできるので、何か不明なことがあれば事前に確認しておくと安心です。

【台東区の税務署】
東京上野税務署
所在地：〒110-8607 台東区池之端1-2-22 上野合同庁舎
電話番号：03-3821-9001

浅草税務署
所在地：〒111-8602 台東区蔵前2-8-12
電話番号：03-3862-7111

クリニックや歯並びの状態によってバラツキがある医療費や、賢く利用したい医療費控除についてご説明しました。高額ゆえになかなか治療に踏み切れない方も多い矯正ですが、治療費の相場や高額医療費控除などを知っておくことで、家計に無理のない治療計画が立てられることがわかりましたね。